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組合費は固定費の聖域か|月1.2万円を投資に回すと576万円になる計算

左に5,759,351円・右に「守られている実感」 お金の計算

私の給与明細から、毎月約1万2千円が組合費として引かれています。年間14万4千円。これを投資に回したら、定年までの19年間で5,759,351円になる計算でした。通信費を格安SIMにし、保険を見直し、サブスクを解約してきた我が家の家計で、最後まで手つかずだった固定費。それが組合費です。この記事は「組合を抜けよう」という話ではありません。聖域にも計算と天秤を、という話です。

この記事でわかること

  • 組合費を投資に回した場合の複利計算(月1.2万円×19年)
  • 脱退で失う可能性があるもの(フェアに全部)
  • やめる前に必ず確認すべき2つのこと(協定と天引きの根拠)
  • 「守られている実感」と576万円を天秤にかける考え方

固定費見直しの最後に残る「聖域」

固定費の見直しは、節約の王道です。通信費、保険、サブスク、電気ガス。我が家もひと通りやりました。ところが、給与明細をよく見ると、まだ大物が残っていました。組合費、月約1万2千円。年間にすると14万4千円です。私の場合、見直し済みのスマホ代より高い。それなのに、この項目だけは「払うのが当たり前」として、検討の対象にすら入っていませんでした。

聖域になっていた理由は明確です。金額が天引きで見えにくいこと。そして、「みんな払っているから」です。でも、家計簿の前では全ての支出は平等のはず。まず、計算だけしてみることにしました。

月1.2万円×19年を投資に回すと5,759,351円

46歳から64歳の定年までの19年間、年14万4千円を年利7%で積み立てた場合の計算です(年初積立・年複利。金融庁のつみたてシミュレーターでも同様の試算ができます)。

経過年数年齢累計拠出額資産評価額
1年46歳144,000円154,080円
5年50歳720,000円886,074円
10年55歳1,440,000円2,128,838円
15年60歳2,160,000円3,871,880円
19年64歳2,736,000円5,759,351円

名目の支払総額は273万6千円。しかし機会損失として見ると、約576万円です。月1万2千円という金額は、複利の世界ではこのサイズになります。もちろん年利7%は保証されません。それでも年3%で計算し直しても約370万円。どちらにしても「小さな会費」ではありません。

ただし、すぐやめられるとは限らない|確認すべき2つのこと

ここが本記事で一番大事な部分です。組合費は、スマホの解約とはまったく性質が違います。行動する前に、最低2つの確認が必要です。

①ユニオン・ショップ協定の有無

会社によっては、労働組合への加入が雇用の条件と結びついた協定(ユニオン・ショップ協定)があります。この場合、脱退は「会費の解約」では済まず、雇用上の扱いに関わる可能性があります。つまり、協定の有無を確認するまでは、脱退の検討自体を始めてはいけません。就業規則や労働協約で確認できます。

②天引き(チェックオフ)の根拠と停止手続き

組合費の給与天引きは、労使協定や本人同意に基づいています。仮に脱退が可能な場合でも、いつから天引きが止まるのか、手続きは組合経由か人事経由か、事前に把握しておく必要があります。

脱退で失うもの|576万円の対価はこれ

フェアに書きます。組合費は「何も得ていないのに取られるお金」ではありません。脱退すると、次のものを失う可能性があります。

  • 相談・交渉ルート: 評価・配置転換・ハラスメント・労務トラブルの際に、組合を通じて会社と交渉するカード
  • 発言権と投票権: 賃上げ要求や制度への意見を組合内部から出す権利
  • 共済・互助制度: 組合独自の給付や福利厚生がある場合、その対象から外れる
  • 情報: 春闘や制度改定に関する組合経由の情報
  • 職場の空気: 数字にならないが現実に存在する、人間関係上の安全圏

なお、「賃上げや一時金の交渉結果が非組合員にも適用されるか」は会社と協約の作りによります。ここも事前確認が必要な項目です。

天秤のかけ方|「守られている実感」に値段をつける

整理すると、天秤の片方には576万円。もう片方には、上の5つが載っています。判断の物差しは、人それぞれ違っていいと思います。私が使っているのは、この3つの問いです。

  • 過去5年間で、組合の相談ルートや共済を実際に使ったことがあるか
  • 自分が問題だと感じていることを、組合が議題として扱ってくれた実績があるか
  • 同じ月1.2万円を「守り」に使うなら、組合費と掛け捨て保険と貯蓄、どれが自分の家計に効くか

3つとも自信を持って「使った」「扱ってくれた」「組合費が効く」と答えられるなら、576万円は妥当な保険料です。答えに詰まるなら、少なくとも計算する価値はあります。

私の現在地|まだ結論を出していません

正直に書くと、私はまだ脱退していません。まず協定の有無を確認し、失うものの実際の価値を自分の目で見極めている段階です。ただ、計算をした前と後では、毎月の給与明細の見え方が変わりました。「当たり前に引かれるもの」から「毎月1.2万円で買っている保険」へ。買っている自覚があれば、更新するかどうかを考えられます。聖域を聖域のままにしないこと。それが固定費見直しの最後の一歩だと思っています。

よくある質問

Q. 組合は誰でも脱退できるの?

会社と組合の取り決めによります。ユニオン・ショップ協定がある場合、脱退が雇用に影響する可能性があるため、必ず先に協定の有無を確認してください。この記事は脱退を推奨するものではありません。

Q. 576万円の計算の前提は?

月1万2千円(年14万4千円)を年初にまとめて拠出し、年利7%で19年間複利運用した場合の概算です。税金・手数料は考慮していません。年利3%なら約370万円になります。

Q. 賃上げの恩恵だけ受けるのはずるくない?

いわゆるフリーライダー問題で、組合側の正当な論点です。だからこそ本記事は「計算と天秤」を勧めるにとどめ、結論は各自の価値観に委ねています。天秤の結果「払い続ける」も立派な結論です。

まとめ|聖域にも、計算と天秤を

組合費は、固定費の中で唯一「見直すという発想自体がタブー」になりがちな項目です。でも、月1.2万円は19年で名目274万円、複利なら576万円。この数字を知った上で払い続けるのと、知らずに払い続けるのは、まったく別のことです。我が家の家計に聖域はありません。あるのは、計算と、天秤と、自分で選んだ結論だけです。

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