今年の人事評価はBでした。真ん中の、標準評価です。そして周りを見渡すと、およそ半数がB。つまりBとは、会社員の最多数派が受け取る「普通」の判定です。
落ち込んだかというと、逆です。私はこの結果に満足しています。この記事は、「人事評価はBでいい」と考える理由と、Bを安定して維持する技術、そしてBで浮いた力の使い道——つまりB評価の取扱説明書です。
この記事でわかること
- 人事評価Bの統計的な正体(最多数派の標準評価)
- AとBの「値段差」と、A狙いの費用対効果
- Bを安定維持する4つの技術(C回避ゲームの守備)
- 評価面談で使える、たった1つの質問
人事評価Bの正体は「在籍許可証」
Bの意味を冷静に翻訳すると、こうなります。「期待水準は満たしている。問題社員ではない。ただし抜擢対象でもない」。つまりBは、この会社に安全に居続けるための在籍許可証です。
しかも、昇格直後は評価基準が一段上がるため、同じ働き方でもCがつきやすいという話を聞いたことがあります。その中でBを継続できているなら、それは「現在の等級の期待水準に安定して乗れている」という証明であって、敗北の記録ではありません。
AはBより高くつく——値段の話
では、Bの一つ上、Aを狙うといくらかかるのか。まず収入側から。以前計算した通り、評価が1段上がって増える昇給は年数千円です。
次に支出側。A評価を狙うために積むのは、評価者の目に映るための残業、休日の持ち帰り、評価されない仕事の巻き取りだけではありません。歓迎会・送別会・忘年会・新年会、各種レクリエーションへの参加、組合活動への参画——断ると角が立ち、出れば夜と休日が消える「社内行事群」も、Aへの投資に含まれます。ちなみに日本の残業時間の平均は月10時間前後(厚生労働省・毎月勤労統計調査)ですが、評価を狙う人の投入は残業だけでは済まないのです。仮に年200時間を投じて年数千円なら、時給数十円。AはBより、圧倒的に高くつくのです。
もちろん、昇格レーンに乗っている人にとってAは将来への投資になり得ます。しかしレーンの構造を見た上で、そのリターンが自分に返ってこないと分かっているなら——Bこそが最適解になります。
私がBに満足している3つの理由
- 失点ゼロの証明だから——Bは「問題なし」の公式記録です。減点も注意もなく、担当業務を落とさなかった1年の証明書として、これ以上のものはありません
- 時間が浮くから——A狙いの残業と飲み会を積まないので、毎日定時後の数時間が自分のものになります。この時間が副業と筋トレと家族の原資です
- 心が浮くから——評価に一喜一憂する感情のコストが消えます。私が数字で一喜一憂するのは、毎月19日の資産棚卸しだけで十分です(笑)
Bを維持する4つの技術(C回避ゲームの守備)
ここが実務の核心です。B狙いの働き方とは、高評価を狙うゲームではなく、失点を避けるゲームです。攻めではなく守備。守るべきは4つだけです。
- 担当業務は絶対に落とさない——納期・品質・安全。ここが崩れるとBは維持できません。定時で帰るためにも、定時内の集中は妥協しない
- 勤怠で隙を作らない——遅刻・無断の早退・就業ルール違反は、評価を下げたい側に格好の材料を与えます。始業と終業の1分は、律儀に守る価値があります
- 記録を残す——週1回、対応した業務を数行メモするだけ。「何をしているか分からない人」と思われないための防御記録で、評価面談の材料にもなります
- 面談ではこう聞く——「標準評価を安定して満たすために、特に重視すべき点があれば教えてください」。Aを狙う宣言ではなく、失点ポイントの事前確認。上司には前向きに聞こえ、あなたには防御情報が手に入る、一石二鳥の質問です
Bで浮いた力は、全部社外へ
Bを選ぶ最大の果実は、浮いた時間と心をどこに投じるかを自分で決められることです。私の行き先は決まっています。評価に納得できなかった夜に宣言した通り、副業で月6万円。それに筋トレと、家族との夕食と、23時の就寝です。
会社の評価表がBでも、家計簿と筋肉と家族の食卓には、自分でSをつけられます。評価の主導権を、年に1度の面談から、毎日の自分に取り戻す——Bとは、そのための選択です。
よくある質問
Q1. B評価だと、昇給や賞与が心配です
Bは標準評価なので、昇給も賞与も標準の水準で出ます。むしろ大事なのは家計側の設計で、生活をB前提で組んでおくこと。A評価やその先の昇格を前提にした住宅ローンや生活水準こそが、一番危険です。B前提の家計は、何が起きても崩れません。
Q2. 「やる気がない人」と思われませんか?
失点ゼロと週次の記録があれば、2〜3か月で「定時で帰るが、仕事は確実な人」というポジションが定着します。やる気を疑われるのは、仕事を落とす人であって、静かに完了させる人ではありません。
Q3. 若手にも「Bでいい」と言いますか?
言いません。昇格レーンの入り口にいる人にとって、A評価は将来の賃金カーブに響く投資になり得ます。これは「自分のレーンの構造を確認した上で、リターンが見合うかを計算して選ぶ」話です。計算した結果Aに価値がある人は、堂々と狙ってください。
まとめ: Bは敗北ではなく、選択
人事評価のBは、最多数派が受け取る標準評価であり、失点ゼロの証明であり、時間と心を取り戻すための選択です。守備の4技術(業務を落とさない・勤怠の隙を作らない・記録を残す・面談で失点ポイントを聞く)でBを安定させ、浮いた力は全部、自分の人生に投資する。
会社ではB。人生ではS。来年の評価面談で何を言われても、この配分は変わりません。
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